憲法の勉強の仕方

憲法は司法試験の科目の中でも、最も覚えることが少ない科目です。
しかし、だからと言って、憲法を勉強しなくてよいというわけではありません。

民法などが得意な真面目な受験生であっても「憲法は何を書いて良いかわからない」「憲法はセンスだ」と話す方もいます。
それは、間違っています。
憲法にも、勉強のポイントというものがあります。そのポイントをしっかり押さえた上で勉強を継続すれば必ず成績は伸びます。

それでは憲法のポイントは何なのでしょうか?
憲法には大きく分けて人権の問題と統治の問題があります。
まずは人権から解説しましょう。
人権では人権の重要性とそれに対立する利益との調整が問われます。
要はバランス感覚です。

  • 表現の自由と張り紙規制

  • 髪型の自由と校則

  • 財産権とその制約

全て利益調整が問題となっています。
したがって人権の問題は嫌でもパターン化することになります。

  1. まず問題となる人権が憲法上保障されるか論じます。
    憲法の条文を挙げて論じることになります。ズバリあてはまる条文がなくても13条で保障される人権ではないか検討することは忘れないようにしましょう。

  2. また、法人や外国人、未成年者などが問題となっている場合は、彼らにその人権が保障されるか論じる必要もあります。

  3. 次に対立利益が問題となります。これが「公共の福祉」というものですね。
    問題となっている人権がどれくらい重要なのものなのか論じながら「公共の福祉」の中身を定義します。これがいわゆる違憲審査基準の定立にあたります。

  4. 最後にその審査基準に問題文の事情をあてはめていくことになります。規制の目的は何なのか、それは正当なのか、重要なのか、手段として行き過ぎではないのか、できるだけ詳細かつ具体的に書いていくことになります。

次は統治の問題です。
実は統治もポイントは人権の問題と同じです。
すなわち、三権分立や地方自治制度のバランスがわかっているか問われます。

国会、内閣、裁判所がどのような機能をもっており、それらがどのように相互に作用するのか、国民主権と地方自治はどう折り合いをつけているのか本当に理解しているかが聞かれています。
たとえば国会の仕事は国民から選ばれた議員による立法です。したがって国会の長所は民意の反映です。
一方で、議員は必ずしも専門知識をもっているわけではないですから、誤った法律を制定するかもしれません。また、議員は何人もの議員が集まって議院として活動することになるので迅速な対応はできません。
これを補完するのが裁判所と内閣です。
このことは当たり前のことですが、きちんと自分の言葉で説明できるという人は、あまり多くありません。ここでは書きませんが、内閣や裁判所の機能、弱点も自分できちんと説明できるか確認しておきましょう。地方自治と国民主権についても同様です。

もちろん判例や基本書を読むということも本当に法律を理解するためには必要なことです。
しかし、知識というのは、ただ読んでいても身に付くものではありません。試験で必要なことが何なのか理解した上で、知識を肉付けしていくんだという意識は必ず持っておきましょう。


お勧めの参考書

  1. 芦部憲法を読む
    まずは憲法の概略をつかむことが大事。
    できるなら、予備校の講座がお勧めだが、費用をかけたくなければ憲法は芦部をざっと読むだけでも十分。ここで注意することは深く理解しようとしたり、暗記しようとしないこと。
    まずは早く科目の全体像を見るということが重要である。

  2. 択一の問題を解く
    基礎知識の確認をするのに択一の問題は最適。
    また、択一の問題を早期に解き始めることで、試験間近の時期に論文に集中することができます。

  3. 辰巳のLIVE憲法過去問
    択一で基本的な概念をつかんだら、論証の流れをつかむ。この本は解説が詳しいので自習には最適。問題を解き終わったら芦部で該当箇所を確認する。3回はまわしたい。

  4. 憲法上の権利の作法
    多少ハイレベルだが、かなり良い本である。
    予備校レベルでは、このような質の良い教材は作れない。基礎知識が身に付いてから取り組むこと。

  5. 判例
    憲法はやはり判例の勉強は避けて通れない。
    ただし、最初から読もうとしてはいけない。これも基礎を身につけた上で、裁判所はどのように考えているのか、どのような論理の運び方をするのかを理解すること。
    特に大切なことは判旨だけではなく、必ず具体的事案がどういうものなのか読み込むこと。
    判決文だけ読むのでは択一では通用するかもしれないが、論文でボロが出ることになる。